カスタードプリン(熱変性)レッスンレポ

カスタードプリン(熱変性)レッスンレポ

生卵を茹でると固くなる。当たり前すぎて疑問にすら思わない現象ですが、ではなぜ固くなるのでしょう?

今日参加してくれたみなさんはその疑問に即答できるようになりましたね。鍵はタンパク質にあります。タンパク質の分子は生卵の状態では長い毛糸が折りたたまれて内側にしまい込まれ、毛糸玉のような形で水分子のなかに散らばっています。熱を加えるとその折りたたまれた毛糸がほぐれます。ほぐれた毛糸は水を遠ざける性質(疎水性)があり、毛糸同士でくっついて塊を作ります。これが固くなる理由です。

卵のタンパク質の性質を利用して作るカスタードプリン、ではプリンはなぜゆで卵のようにぎゅっと固くならないのでしょうか。その秘密は砂糖です。砂糖の分子がタンパク質の毛糸の間に挟まってクッションのような役割を果たします。また、砂糖は水をキープする性質(親水性)があるため、いい感じに水分を抱き込んでタンパク質が固まるのです。

ところでみなさんはトロトロの柔らかいプリンと昔ながらの喫茶店で食べるような固めのプリン、どちらが好きですか?あの有名なパステルのなめらかプリンが誕生したのが1993年、ということは30年以上も昔なんですね。当時大ブームが巻き起こり、以降は柔らかいプリンが主流になりました。牛乳の一部を生クリームに変え、卵も白身は使わず卵黄のみ使うことで脂肪分がなめらかな舌触りを実現しています。

今日は卵の量を変えることでプリンの硬さがどう変わるかを実験しました。牛乳と砂糖は同量にし、片方は卵を2個使い、もう片方は卵を3個使います。蒸す時間が15分あるので、食べ比べは私が試作してきたプリンで。ところが火入れの加減か、どちらも同じくらいの硬さでみなさんを困惑させることに。申し訳なかったです・・持ち帰った2種類をおうちで比較してみてくださいね。

ところで私達が「プリン」というとき、多くは今日作ったカスタードプリンを指しますが、もともとはイギリスの料理名「プディング」が由来です。16世紀頃は肉や野菜にスパイスを混ぜて羊の腸に詰めて蒸したものをプディングと呼んでおり、保存食の一種でした。独特の風味で好き嫌いが分かれるものだったようですね。その後19世紀になって砂糖が大量に生産されるようになると、ドライフルーツやナッツ、小麦粉、卵と砂糖を混ぜて蒸した「クリスマスプディング」に代表されるお菓子へと進化しました。古いクリスマスソングにも出てきますよね。でも今日の皆さんは「知らなーい」とのことでした。美味しいのになあ。

レポートを書いてもらったのですが、卵と砂糖の割合の違いが硬さに関係するのではないかと推察してくれた生徒さんがいました。なるほど、毛糸の本数が変われば挟まる砂糖分子の数もそれぞれ変わりますものね。素晴らしい気づき。

これで冬のレッスン全3回が終了しました。ご参加くださった皆様、ありがとうございました。来月からは春のレッスン、見た目も可愛くてとっても美味しいみかんロールを作ります。お楽しみに。