例えば「今からカスタードクリームを炊くぞ」という時と、「今からパンを捏ねるぞ」という時とで真逆になる目標があります。それが「グルテン、作るか作らないか」です。カスタードクリームを炊く時には、小麦粉を投入した後は細心の注意を払ってゆっくり大きくかき混ぜ、グルテンがなるべく作られないようにします。ここでこねくり回すと、舌触りの悪いクリームになっちゃいますからね。それに対してパンを捏ねる時は、いかに乾燥させず温度を下げずに手早くたくさん捏ねてグルテンを大量に作るかが重要です。
ところでグルテンって何でしょうか。答えは「小麦粉に含まれるタンパク質が水と結合して網目状に変化したもの」です。パンがふんわりと焼き上がるのは、この網目状になったタンパク質が炭酸ガスを抱き込んで膨らむからです。そんなグルテン、名前はよく聞きますが、実際に見たことはあまりないのでは?ということで、「小麦粉からグルテンを取り出してみよう」というのが今回の実験です。さらに、取り出したグルテンを使って生麩まんじゅうを作ります。
生麩まんじゅうってお子さんにはあまり馴染みのないお菓子かも知れませんね。私は川崎大師でくず餅を買う時に隣に並んでいるとつい買ってしまいます。笹で包んだ涼しげな夏のお菓子なので今は完全に季節外れですね。生麩というのがまさに「グルテン」なんです。室町時代に中国に留学した僧侶が持ち帰ったとのこと。肉や魚を摂らない彼らにとっては貴重なタンパク源です。日本は小麦の生産量が少なく、当時は貴重品で、宮中行事など特別な時にしか食されなかったそうです。後に小麦粉の輸入が始まってようやく庶民も口にするようになりました。今は乾燥させて保存が可能になり、また、ヘルシーなお菓子の材料として注目されています。
何はともあれ、グルテンを大量に作ることから。ボウルに強力粉と水、少しの塩を加えてよく捏ねます。レッスンは基本的に座ってやるのですが、「捏ねるのに力が入りやすいように立ってやってごらん」と声をかけると、「立つと貧血になるから」とSちゃん。繊細なのね・・・。「学校の朝礼ってどうしてるの?」と聞いたら、今は教室に座ってモニターで先生の話を聞くんだって。暑い日に校庭に並んで長い話を聞きながらめまいを起こした遠い日を思い出します。
さて10分経過、今度はその生地を布巾に包んで水を張ったボウルの中でもみ洗い。水が白く濁るのはデンプンなどが溶け出したためです。水を替えながら洗うと、布巾の中にくにゃっとしたものが残ります。これがグルテン。座って捏ねた小学生ちゃんは60g、立って気合入れた大人の私は77gのグルテンが取れました。
取り出したグルテンと白玉粉、水をフープロに入れてよく攪拌します。これで生麩まんじゅうの生地が出来ました。こしあんを包んで蒸し器で15分、出来たら氷水に取って冷やし、笹の葉で巻けば完成です。
蒸している間に比較実験。薄力粉で作ったらグルテンの量は変わるでしょうか。生地はレッスン前に私が捏ねておき、それをみんなで分割してもみ洗いしました。予測するためのヒントは「①強力粉には含まれるタンパク質が多い ②薄力粉には含まれるタンパク質が少ない ③グルテンはタンパク質から出来ている」ということで皆さん「強力粉の方が多い」と予測しました。洗った生地を集めて測ると47g。想定より多かったのは、捏ねてから寝かした時間が長かったからでしょう。でも無事に予測的中してよかったです。
次回はカスタードプリンを作ります。やわらかめのプリンと固めのプリン、違いはなんでしょう?お楽しみに。