アイスクリームの天ぷらっていうパワーワードを初めて聞いたとき、えっ何それ食べてみたいと思うと同時に、なんでわざわざ揚げるんだ?と疑問が。結果、今まで一度もいただいたことは無いのですが、アイスをスポンジで包んで天ぷら衣にくぐらせさっと油で揚げるという話なので、おそらく想像通りの味がするのではないかと思います。食べたことある人、いたら感想教えてください。
さて今月のレッスンで作った「ベイクドアラスカ」、天ぷらとやってることはまあ同じです。かちこちに凍らせたアイスのまわりに、お砂糖たっぷりのメレンゲを絞って、バーナーで炙ります。メレンゲがいい感じに香ばしく、中のアイスは溶けずにひんやり。アラスカ統合を記念して作られたお菓子だという説もありますが定かではありません。リキュールをふりかけて青い炎を演出するレストランもあるそうです。
バーナーで炙ってもアイスが溶けない理由は、メレンゲが断熱材の役割を果たすから。天ぷらの場合はスポンジですね。本日のテーマは「断熱」。断熱とは、「熱の移動を妨げること」です。では熱が移動するってなんだろう?
熱は高いところから低いところへ移動する性質があります。あつあつのスープをテーブルに置いておくと冷めるのは、スープの熱が部屋の空気に移動するから。反対に、冷たいアイスを放置すると、室温がアイスに移動して溶けます。
熱の移動には3つの種類があります。
1「伝導」
鍋に水を入れて火にかけると、熱が鍋から水に伝わり、お湯になります。
2「対流」
夏、エアコンから冷たい空気が出ると、部屋の空気が流れて部屋全体が快適な温度になります。
3「放射」
太陽の熱は電磁波となって遠く離れた地球にふりそそぎます。
本日の断熱実験は、「伝導」と「放射」を妨げてみました。
同じサイズのコップに、同じ量の氷を入れて、色んなもので包み、日向に放置します。
どれがいちばん氷が溶けるのが遅いか、みなさんそれぞれ予想しました。
その前に、色んなものの「熱伝導率」を見てみましょう。
「熱伝導率」とは、「その物質がどれだけ熱を伝えやすいか」を数値にしたもので、大きいほど熱を伝えやすいものだと言えます。
アルミ 236
段ボール 0.07
エアキャップ 0.04
空気 0.02
実験に使ったのは
アルミホイル
段ボール
エアキャップ
市販の断熱シート
の四種類。
このなかで、断熱シートについては熱伝導率が不明ですが、「表はアルミ素材」「裏は薄いウレタンシート」「わざわざ、保冷バッグとして100円で売っている」などの情報から順位を推測してもらいました。
この季節の日向、さぞや暑かろうと思いましたが、5分放置くらいではあまり差が無く、もう5分追加で合計10分放置。
比較のために包装なしのコップも並べます。
結果はこちら。
断熱シート→エアキャップ→段ボール→アルミホイル
の順番に、溶けるのが遅かったです。
レポートに、「アルミホイルで包んだものはもっと溶けると思った」と書いてくれたお子さんがいました。
アルミ自体の熱伝導率は高いのですが、実はアルミホイルのギラギラには熱を反射させる効果もあるのです。
先月に続き、今月も夏休みの自由研究に使ってもらえるようにアレンジしたレポートを用意し、実験写真をアルバムでシェアしました。
「明後日から学校…」とちょっとさびしそうな皆さん。まずは早起きがんばってね。
来月から秋のレッスンがはじまります。9月のテーマは「真空」。美味しくて色鮮やかなりんごのコンポートを作りましょう。